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青春文学 |
数ある新潮オンラインブックスの名著のなかから、テーマごとに作品をピックアップしてご紹介します。1月は、青春文学特集。“あの頃”と今――。文学のなかで青春時代は生き続けています。
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遠藤周作『ピエロの歌』 |
840円(税込) データ量197KB
平凡な結婚を嫌って長崎から上京、大学院で社会学を専攻する波多マキ子は、過激派学生の勝呂に恋をする。革命なんてピンとこないけれど愛する彼のためならと、一生懸命尽くすマキ子の真情は仲々分って貰えない。のみならず勝呂達は彼女をオトリに大使誘拐を企てる……。彼ら若きピエロ達の無軌道にも見える奔放な行動を通して、青春の気負いと挫折、美しさと哀しみを描く純愛長編。
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柴田 翔『贈る言葉』 |
420円(税込) データ量102KB
さまざまな夢と未来への志向をいだきながら学窓を飛び立ったはずなのに、ただ倦怠と惰性をしか見いだせなくなっている十年後の今日の、限りない挫折感を吐露した「十年の後」、“愛の観念”に固執するあまり、ついに結ばれることなく訣別してしまった、過去の恋人に語りかける抒情的作品「贈る言葉」。戦後世代の青春の苦悩を真摯に浮彫りにした、芥川賞受賞作家の中編二編。
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柴田 翔『立ち盡す明日』 |
315円(税込) データ量90KB
一流銀行の調査部員・佐室孝策の家に、妻・聡子の従妹・由希子が同居することになり、ふとした出来事から、由希子は孝策に愛を感じ始める。それは、稚い愛ではあったが、十分に、家庭崩壊の危機をはらむものであった――。知識人の胸の奥に巣くう虚無と孤独の心と、それらゆえの愛の挫折とを、明晰かつ抒情的な文体で描きあげた、『されどわれらが日々――』に続く長編第二作。
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柴田 翔『ノンちゃんの冒険』 |
315円(税込) データ量85KB
上京して女子短大英文科に籍を置くこと一年余、はたちにもならないノンちゃんに、子供ができた。父親たる哲学君は、“世界が暮れ落ちる今、ぼくらは旅立つのだ”と呟やいて家を出たまま、行方が知れない。生むべきか、生まざるべきか……? 終末観ただようこのアスファルト・ジャングルで、生き難い世を生き続けるすべての人々に、スリリングで心暖まる、都会のメルヘンを贈る。
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森田誠吾『魚河岸ものがたり』 |
525円(税込) データ量144KB
だれもが「かし」と呼ぶ隅田河口のまちに、ひとつの秘密を抱いた青年が住みついた。そこに住む人にとって、「どこの誰か」よりも「どんな誰か」が大切なまち。そんなまちの心優しい人々とともに彼は暮らし、〈秘密〉から解放される日の来るのを待っていた。心ならずも魚河岸の町に身をひそめた青年と、まちの人々との人間模様を情感こまやかに描き出した長編小説。直木賞受賞作。
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野坂昭如『心中弁天島』 |
420円(税込) データ量153KB
チンピラやくざと紡績会社の女子工員との出会いから死に至る魂のふれ合いの中に、青春の持つ残酷さを、さわやかに、哀しく描いた表題作。ほとんど戦後日本史の原型ともいうべきものを捉え、焼跡闇市派文学の原点を示す佳品『くらい片隅』。家庭という場で展開されるすさまじい“反米闘争”の寓話『万婦如夜叉』。ほかに『銀座のタイコ』『呪われ児』『殺さないで』『展望塔』を収める。
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武田泰淳『快楽』 |
1155円(税込) データ量414KB
若き仏教僧侶として絶えず恥ずかしさ、強がり、自己弁明にとらわれながら行動するが、同時にきわめて無反省でもある十九歳の青年僧柳。禁欲と矜持をもとに生きることを使命づけられた主人公を、次々と見舞う人生の衝撃。左翼アジトでの読経、警察への留置、拷問、金満家の夫人の性への誘惑、そして教団と革命団体両者の分裂抗争に巻き込まれていく。昭和十年前後、性と政治と宗教という互いに矛盾した問題に懊悩する仏教僧の青春を描く自伝的巨編。
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野上弥生子『真知子』 |
578円(税込) データ量215KB
日本の社会と知識人の心を激しくゆさぶらずにはおかなかった、昭和初期のマルキシズム。その嵐の中を手さぐりでさまよう若い魂の群れ。美しい近代女性・曽根真知子は、退屈で滑稽な自分の親類仲間の俗物性を批判し、現実社会を動かしている力に虚偽を感じて、社会の救済を思念する。甘美なヒューマニズムを脱却して真摯な生き方をもとめる真知子の愛と思想を描く、記念碑的小説。
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高橋三千綱『天使を誘惑』 |
420円(税込) データ量108KB
一途に思っているのは本当なのに、なぜだかいつも傷つけてしまう。でも恵子は、傷ついても傷ついても、あの優しい微笑みを忘れずに、僕を見つめ、僕を包み込んでくれていた……。そんな天使に幸せを! その日暮しの貧しさでも、愛の巣づくりに真剣に取り組む二人。行く先知れぬ青春の迷路を手さぐりで歩む愛のかたちを、二人に優しく寄り添うようにして追う、爽やかな恋愛小説。
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アンリ・ド・レニエ/堀口大學(訳)『燃え上る青春』 |
525円(税込) データ量197KB
パリの裕福な実業家の家に育った主人公アンドレ・モオヴァル。彼と若く美しいド・ナンセル夫人との情事と、彼の将来に期待をかけるモオヴァル家の人々の姿を、詩人でもあるレニエが、流麗かつ詩的に描きあげた、作者円熟期の傑作。本作品発表当時(1909年)の仏文壇では詩人が小説をかくことが流行し、それらの作品では物語に、作者の夢想や感情がもりこまれ、きわめて美術的な小説となっていた。本作品はその代表作であり、堀口大學の名訳で味わうことができる。
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